福岡県久留米市の高良山に鎮座する高良大社は、筑後一ノ宮として崇敬を集める。古くは高良玉垂宮と称し、神宮寺も隆盛して全山に社殿堂塔が築かれた。明治時代の神仏分離を経て山の神宮寺は廃絶。山内寺院の実態については不明な点が多い。 本研究では、高良山麓の寺院を調査し、神仏分離によって山から移座された仏像・仏画の特定を進めた。またそれらの元の安置場所を推定し、山の様相の復元を試みた。結果、山の複数寺院について、安置仏や宗教的役割を考察することができた。また、神仏分離時の記録を整理し、山の作品が移座先で受け入れられていく過程を追跡。作品の移座を通じて、山の信仰が山麓域へ継承されていく過程を明らかにした。
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