本研究は、東アフリカのイギリス領に配置されたキングス・アフリカン・ライフルズ(King's African Rifles: KAR)のうちウガンダ第4大隊の、ウガンダ独立時の解体と国軍編成の過程、KAR兵士や独立後の国軍兵士の大戦後・除隊後の生活を明らかにすることを目的としている。 昨年度の計画通り、2023年夏(8月~9月)にウガンダで現地調査を実施した。2023年5月~6月に参加したカナダ・アフリカ学会では、ウガンダ保護領期の刑事施設を専門とする研究者や、アーカイブ調査を得意とするマケレレ大学歴史学部講師らのパネル発表を聴くことができた。そこでは、ウガンダにおける歴史資料の収集・分析に関する知見を得た。2023年11月~12月にサンフランシスコで開催された第66回全米アフリカ学会では、第二次世界大戦とアフリカに関するパネルで口頭発表を行った。コメンテータであったケンブリッジ大学南アジア研究センター(および同大学アフリカの紛争・開発センター: CACD)所属の研究員から頂いた指摘や助言、同パネリストらから受けたコメントをもとに議論を深めることができた。いずれも大戦期のアフリカ人兵士について造詣が深い研究者ばかりである。この交流は、当該研究の推進において欠かせないものであり、隣接分野の研究者から知見を得られたことは最大の収穫のひとつである。 2023年度内の論文掲載には至らなかったが、図書(分担執筆)の刊行が実現したことは成果といえる。2024年4月現在、本課題研究に関連する図書の構想を具体的に進めている。国内学会誌への論文掲載を目指して引き続き執筆に励む。
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