啓蒙期フランスの教育可能性論の特徴とその形成過程を自然誌からの影響に着目して明らかする目的のもと、自然誌学者ビュフォンの教育論を検討した。 得られた主な知見は次の通りである。1)教育は教育そのものへの関心から問われたわけではなく、人間を動物とは異なる存在として特徴づける議論の論点の一つとして論じられた。2)「人間と動物の境界」をめぐる議論と教育可能性論の関係の理解にあたっては、しばしば参照されたビュフォンを中心としたさらなる研究が必要である。3)ビュフォン教育論の特徴は、その人間観に基礎を見出すことができ、感覚論哲学者コンディヤックらの人間論との比較のもとでさらに検討する必要がある。
|