本研究は,離婚後の父母コペアレンティング,ゲートキーピング,面会交流等と子どもの適応との関連を明らかにすることを目的としている。日本では一時点の横断調査や回顧調査が主流であったが,因果関係の推定や時系列的な変化の検討が困難であるという限界があるため,本研究では短期縦断調査を行い,因果関係や時系列的変化を明らかにすることを目指した。 2021年9月から,離婚後2年未満で18歳未満の子どもと同居する母親500名を対象に短期縦断調査を開始し,3か月おきに9回(W1-W9)の調査を実施した(2年間の追跡調査)。リサーチ会社のモニターを対象としたウェブ調査の特性上,研究の離脱が生じやすいとされているが,最終の時点(W9)で約3割の調査協力者からの回答を得ることができた。 得られたデータの分析については,W1,W2,W3の3時点(6か月間)のデータを用いて,交差遅延モデルによる検討を行った結果,葛藤的なコペアレンティングと子どもの外在化問題(Externalizing)との間に正の関連が示され,離婚後に葛藤的なコペアレンティングが高まらないような働き掛けが重要であることが示唆された。また,発達精神病理学の領域で用いられている発達カスケードの枠組みを用いて考察を行った。 今後は,全時点(W1-W9)のデータを用いて,コペアレンティングや子どもの適応の時系列的な変化について検討を行いたいと考えている。
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