本研究の目的は、日本の女子大学生を対象に、参加者側の予防的介入へのアクセスを促進・阻害する要因を調査研究によって明らかにした上で、ピア実施者による摂食障害のユニバーサルタイプの予防的介入について実施可能性を検討することであった。本年度は前年度に続き、女子大学生の摂食障害およびメンタルヘルスに関する調査研究を実施した。方法として、前年度の調査に参加した2180名を対象に、自己報告式の尺度を用いたオンライン調査を行った。調査会社を通じて前年度の調査の1年後に実施し、1047名から回答を得た。調査内容は、摂食障害の診断、摂食障害のリスク要因、摂食障害および関連する精神疾患の症状、精神疾患へのスティグマ、ピア実施者や専門家に対する援助要請等であった。研究期間全体を通じて、女子大学生を対象とした2回の縦断調査を実施した。1回目の調査で得たデータの分析を行い、女子大学生における摂食障害の有病率、発症プロセス、関連する精神疾患との関連、介入へのアクセスを促進・阻害する要因を検討した。2回目の調査で得たデータについては、現在分析中である。一方、ピア実施者による摂食障害の予防的介入については、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった。現在、介入を実施するための研究チームを構築し、ピア実施者のリクルートとトレーニングを進めている。今後は、本研究の結果に基づき、ピア実施者による摂食障害の予防的介入を進める予定である。
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