火星上層大気からは、大気成分が宇宙空間へ流出している。従来、大気流出は太陽風や太陽放射という宇宙からの影響を強く受けると考えられてきたが、近年は下層大気で発生する現象にも強く影響を受けることが指摘されている。本研究ではその効果を調べるため、火星でダストストームや大気波動が発生した期間の観測データを多角的に解析した。その結果、火星の熱圏・外気圏の水素原子や酸素原子の総量がダストストームや大気波動の影響を強く受けて周期的に変化することを発見した。また、電離圏のイオンの密度も同様に周期変動することも観測的に示した。このことから、火星の大気流出は下層大気からの影響を強く受けて時間変動すると考えられる。
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