研究課題
研究活動スタート支援
本研究の目的は、高分解能地球観測システムの実現に向け、軌道上で複数の望遠鏡開口を合成できる波面制御手法を獲得することである。本研究では、撮像シーンの画像特徴量を評価関数として、合成開口望遠鏡光学系が備えた波面補正素子を逐次制御する、モード分解確率的並列勾配降下(SPGD)アルゴリズムを提案した。そして、数値シミュレーションならびにテストベッド実験を行い、提案手法によって波面補正アクチュエータを制御することにより、回折限界結像性能を有する合成開口イメージングを達成した。
計測工学
本研究では、多変数最適化手法であるSPGDアルゴリズムを波面補正素子制御に応用し、波面センサレス補償光学手法を確立した。最適化の際に、波面収差を直交関数列で展開するモード分解手法を導入し、収束の安定化と高速化を達成した成果は、本手法を時定数の短い大気擾乱の補償などにも応用できることを示唆した。提案手法によって実現した合成開口望遠鏡システムが静止軌道に配置されれば、数メートル級の地表面分解能において、指定した陸海域の常時および即時観測が可能になり、従来にない地球観測機能を得ることができる。