近年、レーザー技術の発展により分子の量子力学的な時間発展ダイナミクスを捉えることが可能になってきており、当研究室では分子回転の時間発展を可視化することに成功している。ただし、光を用いた分子回転制御は光電場の対称性から基本的に分子の軸方向は制御できても完全な配向を制御できない。これは例えば一酸化窒素のN側とO側の区別がつかないことに対応する。本研究ではシュタルク状態選別器をつかうことにより、配向を含めた回転ダイナミクスの可視化を目指す。分子配向は化学反応において重要な要素であるにもかかわらず、実験的に制御することは極めて難しい。本研究の成果は精密な化学反応制御の発展の一助となると期待される。
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