これまでの花の感染症の研究は農学的な側面からの研究が中心であり、花の生態学的側面への影響についての研究は不十分であった。また、送粉者が花の適応度に影響を及ぼしうる微生物を花から花へと広げていることが近年明らかにされつつあるが、そのことが持つ生態的な意味については十分明らかにされていなかった。本研究で開発した数理モデルは、花の感染症が植物の進化や生態的特徴にもたらす影響を定性的に解明する上で重要な基盤となるとともに、これまで見落とされてきた送粉者による微生物の運搬が植物にもたらす影響について明らかにするものである。更に、花の性表現の進化など植物生態学上の重要な課題の解決にも寄与するものである。
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