本研究は腸管寄生線虫であるヴェネズエラ糞線虫の小腸上皮侵入機構の解明を通して上皮細胞間結合の調節機構を紐解くことを目的とした。糞線虫感染マウス小腸組織の形態評価と細胞間接着関連タンパクの発現変化解析を通して、糞線虫感染局所における細胞間結合の破綻およびタイト結合関連タンパクの発現分布変化が起こっており、細胞そのものへの障害は非常に少ないことが示唆された。本研究結果はヴェネズエラ糞線虫による小腸上皮細胞間結合の非侵襲的な調節機構の一端を明らかにするものであり、この侵入機構を応用して低侵襲・高効率なドラッグデリバリーシステムの実現や腸バリア機能が損なわれる各種病態解明への応用も期待できる。
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