本研究では、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬の大腸癌への臨床応用を目的とし、FGFR阻害薬が効果を示す大腸癌患者の抽出を可能とするバイオマーカーの探索を行った。当施設で原発巣切除を行った大腸癌患者を対象に、切除した腫瘍から幹細胞スフェロイドを樹立し、FGFR阻害薬の効果を確認したところ、RAS/RAF野生型大腸癌の約28%に感受性を認めた。 この結果はFGFR遺伝子の変異やコピー数、発現レベルと相関しなかったが、FGFR遺伝子とEGFR遺伝子の発現レベル比「F/E」がFGFR阻害薬の感受性レベルと有意に相関し、FGFR阻害薬の効果を予測するバイオマーカーとなりうることが判明した。
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