申請者は、ヒト膵癌の約4割が非必須アミノ酸の一つであるセリンの生合成経路を欠損していること、これらの膵癌は、膵臓原発巣では神経細胞からセリン供給を受けて生存していることを報告した。しかし、進行膵癌患者の大部分が罹患する肝転移病変において、セリン生合成経路欠損膵癌がどのようにしてセリンを獲得しているかは不明である。本研究では、肝転移巣近傍の肝細胞ではセリン生合成が増加していること、マウス初代肝細胞との共培養により、肝細胞で合成されたセリンが、セリン生合成経路欠損膵癌細胞に取り込まれ、その生存を促進することを明らかにした。現在、その詳細な機序の解明と治療標的化を目指した検討を進めている。
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