研究課題
研究活動スタート支援
乳歯歯髄幹細胞(SHED)の無血清培養上清(SHED-CM)には多くの幹細胞由来因子が含まれており、さまざまな疾患モデルに対する有用性が報告されている。今回の検討で、SHED-CMがin vitroにおいてHepG2のミトコンドリア機能を活性化させること、NASHマウスモデルの肝臓の大滴性脂肪を減少させることが明らかになった。以上よりSHED-CMは、β酸化を促進することで脂肪分解を促進し、NASHの改善に寄与する可能性があると考えられた。
消化器内科
NASH/NAFLDは近年世界的に問題になるとともに、比較的肥満が少ないとされる本邦においても、今後もますますNAFLDの有病率が上昇していくことが予測されている。しかしながら現在のところ有効な薬物治療は限られている。今回の検討により、SHED-CMにこれまで報告されてきた抗炎症作用に加えて、ミトコンドリア機能の活性化を介する作用が確認された。SHED-CMは複雑な病態を有するNASHにおいて、その多面的な作用から有望な治療戦略になると考えられる。