本研究の目的は自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)患者T細胞に特異的に認められる細胞表面および細胞外蛋白の環境変化を新たに確立したSecretome解析を用いて網羅的に解析することである。Secretome解析においてはSPECS法で分離した蛋白をLC-MS/MSで解析することで、培養中に新規にT細胞より生成・分泌された蛋白のみを網羅的に解析可能とする。活動性SLE患者4名及び健常者4名(性別・年齢マッチ)のCD4+T細胞を分離培養し、培養上清中のSecretome解析を完遂し、蛋白質ライブラリーの作成に成功した。
今回作成した蛋白質ライブラリーより健常者およびSLE患者の試料間差異成分の同定に成功している。今後これらの蛋白に関してELISAなどにより培養上清における発現検証を行う。今後、検出された蛋白に関する機能解析を行うことで、これまで発見されていないSLEにおける新規治療ターゲットを解明することが可能と考えた。
またループス腎炎中の腎組織中のa disintegrin and metalloproteinases 9 (ADAM9)の発現やTGF-β 1の活性化、繊維化への影響に関して検討した研究では、今年度中に新たにループス腎炎患者由来の尿検体中のADAM9濃度が上昇していることをELISAにより解明した。これらの結果は日本リウマチ学会・米国リウマチ学会で口演での発表を行い、現在論文投稿行いMajor revisonとなっている。
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