慢性肝疾患では筋肉量減少(サルコペニア)が進行しやすいとされており、サルコペニアの存在は肝疾患の予後を悪化させる。疾患人口も高齢化が進み、今後サルコペニアの対策はより重要視されると推測されるが、治療法は確立していない。肝硬変にサルコペニアが合併しやすい病態は、蛋白エネルギー低栄養や門脈圧亢進症の存在など多岐に渡るが、これまで細胞のストレス反応に着目した報告は少なかった。本研究では、肝障害によって血中に上昇するアンモニアによって、クエン酸回路の代謝産物やストレス応答を調整する因子(Nrf2)の変化を介してストレスへの感受性を亢進させる可能性が示唆され、今後の治療応用に繋がる可能性がある。
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