酸素は生命活動を営む上で必須のものである。体内に取り込まれた酸素の一部は、通常よりも活性の高い活性酸素(Reactive Oxygen Species:ROS)となることがある。活性酸素は老化、がん、生活習慣病などの発症に関わる一方、シグナル伝達などの正常な細胞活性の機能にも関与すると考えられており、その全貌は掴めていない。本研究は、歯の発生における活性酸素について検索した。本研究結果から、前歯のエナメル結節における細胞増殖活性の喪失に、活性酸素が関わっている可能性が示唆された。また、臼歯歯胚に活性酸素が認められず、臼歯歯胚における細胞増殖活性の喪失のメカニズムは前歯と異なる可能性が示された。
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