ヒトOSCC細胞のマウス頸部リンパ節高転移株(V-SAS-LM8)においてはWnt5bの発現が上昇しており、Wnt5bはEMTの亢進およびCSC形質の獲得に寄与している。がん遺伝子とされるGATA6をV-SAS-LM8に過剰発現させたところEMT誘導が抑制され、Wnt5bの発現も減少した。一方で、Wnt5bの受容体発現についてはGATA6の影響は確認できなかった。ヒトOSCC細胞におけるWnt5bの発現はGATA6のEMT誘導抑制機構と関与している可能性が示唆されたが、受容体の発現は、GATA6とは別の機構により制御されているか、あるいはWnt5bの濃度依存的に変動すると考えられた。
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