研究課題/領域番号 |
21K21192
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
折橋 隆三 大分大学, 医学部, 助教 (00909418)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 認知機能 / バイオマーカー開発 / 脳画像解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者の認知機能低下を事前に予測するバイオマーカーの開発を行うこと、より効果的な認知症予防のためのエビデンスを確立することである。その結果高齢者自身の疾病の予防や健康維持への関心に応え、高齢者の健康寿命の延伸と医療費の軽減に寄与することである。 佐賀県伊万里市黒川町で平成16~29年に4期に分けて行ってきた地域在住の高齢者を対象とした疫学調査のデータを既に保有している。保有しているデータは以下の通りである。 生活歴や基本特性(年齢、性別、教育歴、飲酒歴、喫煙歴、代謝状態、高血圧症、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、頭部外傷等の既往歴)、認知機能検査(MMSE)、認知症評価尺度(CDR)、宗教性尺度、生活満足度尺度、うつ病自己評価尺度(BDI-II)、不安尺度(STAI)、愛着尺度(ECR)などの心理検査、血液と唾液のサンプルから得られるバイオマーカー、頭部MRI検査による脳画像データ(1.5テスラ、3次元T1強調画像)。上記データを整理し、 (1)ELISA法により血清中のバイオマーカー(オキシトシン、sTREM2、コルチゾール、BDNFなど)の濃度を測定している。(2)血清中のバイオマーカーの濃度と脳MRI画像による脳体積との関連について、Voxel based morphometry法(VBM)により、横断的また縦断的に解析している。(3)各バイオマーカーと脳MRI画像以外の認知機能検査、認知症評価尺度、代謝状態や生活満足度尺度、不安尺度などとの関連を解析している。(4)コルチゾールと脳MRI画像による脳体積との相関関係について有意な所見をまとめ、英語論文を作成し、学術雑誌に論文を投稿した。現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)コルチゾールと脳体積との相関関係について結果をまとめ、英語論文を作成し、学術雑誌に投稿することができている。 (2)他のバイオマーカーに関しては、結果をまとめる作業を順次行っているが、論文作成までに至っていない。 (3)新型コロナウイルス感染症の影響もあり、得られた知見をもとに、地域在住の高齢者を対象とした健康教育、健康相談を行うことができておらず、高齢者自身の疾病の予防や健康維持への関心に応えることができていない。
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今後の研究の推進方策 |
コルチゾール以外の他のバイオマーカーについても、脳体積やその他心理検査との有意な所見について結果をまとめ、順次英語論文を作成、発表するとともに、国内学会で同内容を発表していく。新型コロナウイルス感染症状況の動向を見ながら、得られた知見をもとに、地域在住の高齢者を対象とした健康教育、健康相談を行うことを計画する。
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次年度使用額が生じた理由 |
バイオマーカー測定に用いるキットは、当該助成金の採択が得られる前に購入していたものから使用することで、結果的に費用を抑えることができた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画として、未測定のバイオマーカーの測定に用いるキットの購入、故障したノートパソコンに代わる新たなパソコンの購入、学会発表にかかる費用、英語論文作成時の英文校正費用、学術雑誌への論文の投稿費用などに使用することを計画する。
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