研究課題
研究活動スタート支援
先行研究において、百寿者の死亡前重症期間を保険診療や介護利用の実態から評価した研究はほとんど報告されていない。本研究では、大規模な医療・介護突合レセプトデータを用いることにより、百寿者及び非百寿者の死亡前1年間の保険診療・介護サービスの利用実態について、特に医療・介護費に注目し分析を行った。本研究結果より、臨床研究によって指摘されている百寿者の医学的特徴(死亡前重症期間の短縮など)は、保険診療・介護サービスの利用実態においても観察されることが明らかとなった。
公衆衛生学
本研究において使用した奈良県及び長野県KDBには、後期高齢者医療制度加入者の保険診療及び介護サービスの全数(悉皆)データが格納されていることから、本研究は日本の百寿者を対象とした過去最大規模のコホート研究と言える。公衆衛生の政策的観点から、まもなく10万人を超えようとする日本の百寿者は無視できない集団であるが、百寿者を対象とした公衆衛生政策に資する研究成果は極めて限定的である。本研究成果は、世界で最も高齢化が進む日本から発信された百寿者研究の成果であり、将来の公衆衛生政策への寄与が期待される。