研究課題/領域番号 |
21KK0059
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80361830)
|
研究分担者 |
大山 伸一郎 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 講師 (20444424)
Martinez・Calderon Claudia 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (30847231)
田中 良昌 国立極地研究所, 研究教育系, 特任准教授 (50425766)
|
研究期間 (年度) |
2021-10-07 – 2026-03-31
|
キーワード | ジオスペース / 電子降下 / オーロラ / 電波計測 / 光学観測 |
研究実績の概要 |
国際共同の枠組みによって,新たな「光と電波を用いた広域観測網」を構築し,オーロラと降下電子の双方を広い領域で面的に観測することを目的として,観測機器の導入に関する準備作業を行った.特に,リオメータの開発・製作・較正作業について,海外研究協力者であるソダンキラ地球物理観測所(Sodankyla Geophysical Observatory: SGO)の Antti Kero 博士と連携し,設置場所の絞り込み,および導入するリオメータのスペックに関する確認を実施した.VLF 受信観測についても,SGO の Jyrki Manninen 博士とのやりとりを継続し,2022 年に実施予定の設置作業に向けた観測場所の絞り込み,周辺ノイズ環境の把握を行うことができた.また,2021 年 11 月にオンラインで開催された北欧の超高層大気観測のためのワーキンググループ(NOM: Nordic Observatory Meeting)において,本計画に関するプレゼンテーションを行い,北欧の研究者との連携基盤を構築した.すでに北欧 4 地点において実施している高感度カメラによる光学観測については,2021 年冬季シーズンの観測を,機器のリモート制御を行うことによって継続した.欧州非干渉散乱レーダー(EISCAT レーダー)による特別実験も 1-3 月の期間に集中的に実施し,ジオスペースからの電子降下に伴う低高度電離現象の事例を多数得ることができている.今後観測を開始するリオメータや VLF 電波観測, 化学シミュレー ションを組み合わせることによって,オーロラに伴うジオスペース電子降下の時空間変動,オーロラの形態による特性の違い,大気への影響を定量的に明らかにすることが期待できる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北欧 4 地点における光学観測を継続し 2021 年度冬季シーズンにも良好なデータを得ることができている.また,新規に設置を行うリオメータについても,NOM の枠組みのもとでプロジェクトが位置づけられており,2022 年度以降に予定されている観測機器の導入およびテスト観測の実施への準備が行えている.VLF 電波観測についても,観測候補地の絞り込みが進められており,周辺ノイズ環境の把握もできつつある.これらのことから,おおむね順調に進展していると言うことができる.
|
今後の研究の推進方策 |
北欧 5 地点における光学観測を継続し,研究期間中にさらに 4 回の「冬季集中観測」を実施する.観測の実施やデータの回収は,NOM との連携のもとに,代表者の細川および大学院生が毎年現地に出張することによって行う.2022 年度にリオメータの開発・製作・較正を SGO との連携で実施し,2022 年度秋以降にフィンランドにおいてテスト観測を開始する.設置場所の絞り込みおよび現地調査,降下電子エネルギースペクトル導出手法の開発も並行して進める.2023 年夏にフィンランド国内 2 地点で定常連続観測を開始する.2023 年以降,得られたデータを用いて電子密度の高度分布を推定する.VLF 受信機については,2022 年秋にフィンランド中部に設置し,定常観測を開始する.得られた波動データからサイクロトロン共鳴の条件を仮定して降下電子エネルギーを算出する.SGO の Kero 博士,Turunen 博士を中心に,電子降下による HOx, NOx, オゾンなどの大気微量成分の生成,消滅過程を再現する化学反応シミュレーションを実データを入力にする形に整備する.2023 年以降,リオメータや VLF 観測からのインプットに基づいた計算を実施し,大気微量成分の変動を再現し,粒子降下の影響を評価する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために国内出張による打ち合わせを実施することができなかった.2022 年度は,北欧への海外出張も含めて実施できる可能性が高いため,次年度以降の出張旅費として使用する.
|