研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
本研究課題では、マックスプランク進化生物学研究所に九ヶ月滞在し、間接互恵性の進化に関して理論的に研究を行った。具体的な研究成果は主に二つある。一つ目は、間接互恵性における評判の双方向性と確率性を導入した新たなモデルを提案し、協力行動の維持メカニズムを理論的に解明した。二つ目は、社会規範の進化過程をスーパーコンピューターを用いて計算科学的に研究し、協力的な社会規範の進化にグループ構造が重要であることを明らかにした。
数理科学
どちらの研究も、今後の間接互恵性の理論、実験研究における今後の研究の参照点となる重要な知見である。また計算科学的な手法を初めて進化ゲーム理論に持ち込み、科学的意義の大きい知見を得た。新しい手法を開拓し、この手法の有効性を実証したという意義も大きい。長期的には、我々の現在の社会の成り立ちについての理解を深めるという文化的、基礎科学的な意義に加え、気候変動や紛争などグローバルスケールの課題において、協力関係を構築するメカニズムのデザインに寄与するものと期待している。