本研究では、アスリートは緊張時になぜパフォーマンスが崩壊するのかを明らかにするために、磁気共鳴画像法を用いた実験やテニスのサーブ・コースを予測するCGを用いた行動実験を行い、脳のどの様な要因がパフォーマンスの崩壊を発生させるのかを明らかにすることを目指した。また、パフォーマンス崩壊の要因を探るためにソフトテニスを対象として、質問紙を作成し、どのような心理的要因がパフォーマンス崩壊に関与しているかも検討した。その結果、心理的な阻害要因としては、競技場面での過度な感情の惹起が「視線注意散漫」という状態を生じさせ、最終的に「知覚運動スキル」に影響を与えることが示された。また、脳内のメカニズムとしては、島皮質からの実行系の注意システムへのコントロールが阻害されることが示された。本研究では、これらの他に、スポーツ科学の脳機能研究を支援するプログラムの開発や、アスリート支援のためのスマートフォンアプリなどの開発も行った。
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