研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、『源氏物語』諸本のテキストを、ある語を仮名で書くか漢字で書くかという、「表記」の観点から見直し、諸本間における表記態度の差異、また同じ本の巻々相互間の表記の差異に注目し、外部徴表ではなく本文内部のデータを基にして、伝本全体、あるいは同一伝本内の巻々の性格、素性の分析を試みるものである。研究遂行上どうしても必要となる、『源氏物語』の翻刻本文を作成する。今年度を含めた5年間で翻刻対象とする写本と版本は、[正徹本・飯島本・池田本・天理河内本・平瀬本・伏見本・古活字本・首書本・絵入本・湖月抄]の10本を予定している。今年度はまず、国文学研究資料館蔵『源氏物語』正徹本54巻の本文をデータベース化し、全54帖の画像撮影を行った。正徹本の本文データベースを有効に活用しながら、さまざまな語における、例えば「あはれ」「哀」、「なほ」「猶」などの漢字表記・仮名表記を抽出し、表記情報に関する本研究課題を進展させていくための基礎研究に取り組んだ。今後はさらに、その上に【表記情報学】を確立し、幅広い古典籍の基礎研究の基盤を構築することになる。また、研究集会は年3回(4月・9月・10月)実施し、4・10月は、本科研のメンバー内での情報交換の場を持ち、各自の成果を発表した。9月には國學院大學において、「源氏物語本文研究の新たな流れ」と題して、国内の『源氏物語』本文や表記情報学に関わる研究者との意見を交換する場を設け、研究の成果・討議を行った。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (10件) 学会発表 (7件) 図書 (3件)
日本古典文学研究の新展開
ページ: 226-251
ページ: 58-79
源氏物語本文の研究
ページ: 89-117
ページ: 200-225
日本計算機統計学会大会論文集
巻: 24号 ページ: 25
情報処理学会研究報告 人文科学とコンピュータ
巻: Vol.2010-CH-88 No.1 ページ: 1-8
中古文学
巻: 85号 ページ: 23-33
潮廼舎文庫研究所「年報」
巻: 8号 ページ: 1-17
詞林
巻: 48号 ページ: 34-47
語文研究
巻: 110号 ページ: 41-49