研究課題/領域番号 |
22246068
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
張 峻屹 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (20284169)
|
研究分担者 |
桑野 将司 神戸大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70432680)
平田 道憲 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (30111660)
小林 敏生 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (20251069)
大森 宣暁 東京大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80323442)
谷口 綾子 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (80422195)
|
キーワード | 市民生活行動学 / 部門横断型政策 / 生活の質(QOL) / モビリティ / 健康 / エネルギー / 観光 / 社会弱者 |
研究概要 |
本研究では、縦割り行政の欠点を克服すべく実用的なまちづくり方法論として、「市民生活行動学」の構築に基づく部門横断型まちづくり方法論の開発を研究目的とする。本年度は本格的調査の実施期間として位置づけていたが、平成24と25年度の内容の一部も実施した。主な研究成果は以下のとおり。 (1)低炭素型まちづくりのための世帯エネルギー消費行動の統合モデルの開発:各種家電、自動車の保有・利用を取り上げ、世帯内外のエネルギー消費の意思決定メカニズムや行動間の関連性を取り入れた生活行動モデルを開発し、都市政策の評価を行った。Energy Policyなどのトップレベルの雑誌に論文が掲載された。 (2)観光政策のための観光行動の統合モデルの開発:観光発生、観光目的地、交通機関、時間利用や支出を取り入れ、行動間の関連性を反映した統合モデルを開発し、Tourism Managementなどのトップレベルの雑誌に論文が掲載された。 (3)生活時間分析の研究:世帯意思決定メカニズムや変化・変動の意思決定メカニズムを反映し、様々な生活行動を同時に取り入れた生活時間の統合モデルの開発を行った。Transportationなどのトップレベルの雑誌に論文が掲載された。 (4)生活の質(QOL)の研究:日本およびアジア都市でのアンケート調査を実施し、生活満足度や幸福度のSubjective well Being、健康関連QOL、買物中の気持ちなどを対象に、QOLに影響する要因の把握、市民生活行動とQOLとの関連性を取り入れたQOL評価モデルを開発し、研究成果は国際時間利用学会(IATUR)などのトップレベルの国際学会に投稿した。 (5)自主参加型生活行動調査:全国で初めて実施されたある地方小都市のパーソントリップ調査の一環として自主参加型調査を試験的に導入した。2週間の募集期間と2週間の回答期間で5%の回答率を得た。 (6)社会弱者の研究:欧州諸国や日本の子育て支援策、高齢者モビリティの調査・モデリングの研究を行った。IATBRやISCTSC、都市計画論文集などのトップレベルの雑誌に論文が掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度から研究計画を前倒しで実施しており、今年度も平成24と25年度の内容の一部を実施した。今年度の公表論文は55編(うち、査読付き論文37編(SCIやSSCI論文:12編))、学会発表は14回である。特に、交通分野だけではなく、観光や環境・エネルギーなどの分野の国際的トップレベルの雑誌に掲載された論文は12編。また、市民生活行動調査論の研究成果を交通分野のトップレベルの国際調査学会(ISCTSC2011)でResource Paperとして招待された。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度から市民生活行動調査およびモデリングの研究の集大成を図り、平成25年度の「部門横断型まちづくり政策の提言」に向けて準備しておく。具体的には、1)まちづくり現場での調査レビューを通じて、複数調査データの融合方法を研究し、市民生活行動調査のパッケージ化・標準化を図ること;2)学際分野における市民生活行動やQOLの高いレベルの研究実績を挙げること;3)エネルギー消費や住環境などを対象とする市民生活影響評価システムを開発すること;4)市民生活行動学の構築に向けて研究の体系化を引き続き図ることを重点的に取り組む予定である。
|