研究課題/領域番号 |
22300318
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
|
研究分担者 |
原口 健 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10549455)
水谷 壮利 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00376617)
小原 道法 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (10250218)
稲田 健一 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (70246081)
|
キーワード | miRNA / miR-199a / SWI/SNF複合体 / フィードバックループ / がん細胞 / Brm / Cdx2 / CD44 |
研究概要 |
本研究は発癌に伴なうmiRNAの発現異常が生じる分子機構とそれが及ぼす生物学的効果を解明し、新しい治療標的を同定してその治療法を開発することを目標としている。平成22年度の成果から、ヒト癌細胞株は、miR-199a-5p/3pの発現が高くて、その標的であるBrmの発現がほとんど見られず、またBrmによって発現が負に制御されるEgr-lの発現が高いタイプ(タイプ1)と、反対にmiR-199a-5p/-3pの発現が低く、Brmの発現が高く、その結果Egrlの発現が低下しているタイプ(タイプII)に2分できることを示した。ここではmiR-199aは、分子スイッチとして機能していて、こうした双極性の制御の1つが、miR-199aの遺伝子がFgr-lにより正に制御されていることによるdouble-negative-feedback制御によることを示してきた。今年度はタイプIに属する細胞株はほとんどの場合CD44(+),c-met(+)を発現し、内在性のNF-kB,AP-1が高いこと、またタイプIIは、それと逆の表現型を示すことを明らかにして、その主要な分子機構のいくつかを解明した。また今年度、我々は腸の特異的なマーカーであるCdx1とCdx2に注目して、Cdx1のexogenousな発現がCdx2をpost-transcriptionalに抑制すること、またこの抑制には、Cdx1の発現により発現誘導される複数のmiRNA(miR-15/16,miR-9,miR-22)により説明されることを実証し、Cdxファミリー間のホメオスタシスを保つ重要な分子機構の一部を解明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの癌細胞株を大きく2種に分類した先年度の成果を大きく発展させた。特にタイプIIに属する細胞株ではneural geneの発現が見られ、また足場非依存性増殖活性が低いという共通の特徴があることを示した。その分子機構の解明内在性の転写因子NF-kBとAP-1の活性の違いに由来することもわかってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト癌培養細胞株で見られたこの現象は、in vivoにどのように反映されるのか、今後病理検体をもちいた解析を進めていく必要がある。
|