研究課題/領域番号 |
22320067
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
植木 久行 弘前大学, 人文学部, 教授 (20160153)
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研究分担者 |
許山 秀樹 静岡大学, 情報学部, 教授 (10257230)
松尾 幸忠 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (20209505)
李 梁 弘前大学, 人文学部, 教授 (20281909)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 詩 跡 / 歌 枕 / 俳 枕 |
研究概要 |
本年度は、4年間にわたる共同研究の3年目にあたる。8月29日、弘前大学で研究会を開催して、2年間にわたる江南地域の詩跡調査の成果を踏まえて詩跡研究の深化を図った。研究の代表者、並びに研究分担者の発表題目は、①植木「館娃宮跡と真娘墓―蘇州の詩跡考―」、②松尾「福建省の詩跡化について―「武夷」もしくは「武夷山」についての、別集以外のおける記述―」、③李「詩跡としての白鹿洞書院」、④許山「「杏花村」の成立―詩跡化の考察―」である。 ①は江蘇省蘇州市区の近郊にある呉中第一の名勝・虎丘に、今も伝存する、歌舞に巧みな唐代の妓女・真娘の墓と、蘇州市の西南郊外の霊巌山上にあった華麗な宮殿・館娃宮(春秋後期、越王勾践を破った呉王夫差が、越王から献上された越の美女・西施を住まわせるために造る)の詩跡化に関する研究である。②は広義の江南に含まれる福建省西北部の霊山・武夷山が、宋代以降ようやく遅れて詩跡化する過程を考察する。③は江西省の廬山のほとりに位置し、宋代四大書院の一つに数えられる白鹿洞書院が、中唐の李渤・白居易によって白鹿洞(書院の前身)として詠まれはじめ、南宋の朱熹、明の王守仁・湛若水・李夢陽、清の王士禛らに詠みつがれて、詩跡として成長したことを論じる。④は晩唐・杜牧の作とされる七絶「清明」詩中にみえる「杏花村」なる地名が、各種の地方志などを参照して、明清以降、山西省(汾陽)・江蘇省(南京・徐州)・安徽省(池州)のほか、江西・山東・湖北省などにも見えることを調査して、その根拠を検証する。 また、蘇州の詩跡・真娘墓に関しては、論文として発表するだけでなく、写真を付した解説文をWeb上の「中国詩跡」でも発表し、研究成果の公開にも努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者と研究分担者が、それぞれ詩跡の淵源としての江南研究に関する新しい研究課題を進めて、新しい視点を創出している。学術論文と研究発表もある。
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今後の研究の推進方策 |
実地調査した、江蘇・浙江・江西省などの詩跡研究をいっそう進めて、Web上の「中国詩跡」に公表する。同時にまた、研究代表者と研究分担者が、それぞれ少なくとも研究論文を1本以上発表して、研究の深化をめざし、詩跡の淵源たる江南地方の詩跡の特色を明確化する。
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