研究課題/領域番号 |
22330243
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
茂木 一司 群馬大学, 教育学部, 教授 (30145445)
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研究分担者 |
福本 謹一 兵庫教育大学, 副学長 (80165315)
苅宿 俊文 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30307136)
阿部 寿文 大阪女子短期大学, 教授 (90159434)
宮田 義郎 中京大学, 情報科学部, 教授 (00239419)
大泉 義一 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (90374751)
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キーワード | ワークショップデザイン / 伝統文化 / 学習環境デザイン / Scratch / 美術教育 / 異文化理解教育 / Unconference / メディア |
研究概要 |
(1)異文化理解・多文化共生の可能性を探る身体・メディア活用型アート・プロジェクトの調査・開発・実践研究としては、a.日本・伝統・文化を活用したカルタワークショップをリニューアル実践し、なりきりえまきとともに、InSEAブタペスト大会で実践・発表(茂木・下原)、b.創造的思考力育成WS開発では、創発的な学びのツールとしてのScratchの可能性を広げ、多くの人が協同で表現ができる環境の構築を実現した。インターネットを通じて協同表現活動に参加できるワークショップ=ワールドミュージアムプロジェクトとして、香港のLEAD、ボストンのJackson School、シドニーのPowerhouse Museumなどと連携して実施した。その成果の一部は、"ワールドミュージアム:アニメーションで世界に友だちを作ろう"としてCANVASワークショップコレクション8にて発表し、優秀賞を受賞した(宮田)、c.キッズゲルニカWS(イスラエル・平和のオアシス、宮城県東松山市など日本各地で実施)、などがある。 (2)「創発的な学びの場」の構築と方法に関する研究では、a.身体的演劇的体験を活用したプロジェクトとして、豊島区舞台芸術交流センター(あうるすぽっと)の委託による「としまっぷ計画」でのWS実践(成果を豪州メルボルン・ビクトリア大学で発表、熊谷)、b.お茶の水女子大学附属小でのWS型授業を「身体性を重視したアート教育」として総括(郡司)、c.「西欧型」の社会観に基づく教育に対して異を唱えているブータン王国におけるGNH(Gross National Happiness)の考え方に基づく造形教育の調査からWS理論の学校教育における有効性を検討、などがある。 (3)WSにおけるファシリテータ養成プログラムの開発とNPOの教育力の活用では、a.WSデザイナーの育成に関連したWSデザインと育成プログラムの研究(苅宿)、b.美術館の新しいソフト的な可能性を探った前橋美術館プレイベントVol.10「ちがいを楽しむコース」全6回を実施(茂木)、c.被災地でのワークショップの可能性探究した東日本大震災支援ワークショップ「Koi 鯉 アート のぼり」つくろう(主催・渡邊晃一、福島市)を支援(茂木)、などがある。 (4)WSの評価方法の探求と成果の社会還元手法の研究では、協同と表現の創造的な学びの場として、「Unconference」、「Undesign」、「Untalk」という新しいワークショップデザイン手法の開発を行った。参加者たち全員でその内容と進行の仕方を考え、その場で実行するワークショップを「REMIX@neomuseum」(奈良県吉野)で実施(上田)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様なメンバーによる多様な活動を理念・目的を共有しながら、ある程度の方向付けを行い、代表者がコントロールしながら、新情報や出来事に向き合い、修正を加えながら、成果を確実に出している。これは、まさにワークショップ的な手法が研究にも生かされている証左であり、おおむね順調に進行していると言ってよい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年のあたるH24年度は、今までの研究をさらに発展すると共に、成果をわかりやすく還元する新しい可能性について検討したい。多様なメンバーの固有な活動を尊重しながらも、お互いのリフレクションが共有できるように工夫し、それらをなるべく幅広く社会還元する方法を探っていく。今年度のUnconference的な手法、つまり身体性と即興性を生かした参加者の緩やかで熱い結びつきを大切にした、より実践的な研究方法を開発・共有したい。
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