研究概要 |
Enriques曲面の自己同型群に関して大橋久範氏との共同研究を続け、二つの結果を得た.一つはEnriques曲面に作用できる有限群の分類で,Mathieu型という条件を外して実行した.もう一つは,無限自己同型群の研究で,有限個の対合の自由積を自己同型群の指数有限の部分群としてもつEnriques曲面をいくつか発見した.一つは対称4次曲面をCremona対合で割って得られる.また、後者に関連して、Mordell-Weil階数が1の有理楕円曲面を射影平面の9回爆発として表すことを調べ、3A2+A1型の場合として平面3次曲線のsemi-Hesse pencilを発見した.これについては、車谷優樹のプレプリント"Pencils of cubic curves and rational elliptic surfaces"(RIMS-1800)に記載されている. 上記の有限Mathieu型作用の分類には幾つかの極大群が現れる.これらの作用するEnriques曲面の定義式を具体的に書くことも試みた.その一つである6次交代群の場合は,5次元射影空間内にそれが半symplecticに作用する次数10のEnriques曲面が存在する.このEnriques曲面は10個の3次式で定義されるが,群作用を用いてそれらを求めることができた.このEnriques曲面は代数体上定義され、素数(特に2, 3, 5)を法とする還元が面白い. 偏極Enriques曲面のモジュライとそのコンパクト化は次数2の場合に Hans Sterkによって詳しく調べられたが,その後研究が止まっている.研究の別方向への発展の糸口として,次数4, 6の偏極Enriques曲面のモジュライを調べた.また、基本ウェイトに対応する特別な次数の8偏極と準正多面体の関係を調べた、
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