電子や原子など微小粒子は量子力学によって記述され、これらの粒子の状態はシュレーディンガー方程式と呼ばれる偏微分方程式に従って変化する。報告者はシュレーディンガー方程式に対する初期値問題に関する研究を行い、方程式が粒子系の運動を一意的に決定するための粒子の間に働く力、ならびに粒子に外部から働く力に対する極めて一般的な十分条件を与えた。粒子の運動の時間無限大での挙動を記述する、散乱の波動作用素と呼ばれる線形写像は関連した多くの解析学の問題に重要な役割を演ずる。報告者はこの作用素の適当な空間での連続性など、数学的に重要ないくつかの性質を明らかにした。
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