アダマンチルエステル(AD)残基を有する、環状オリゴマー誘導体類を合成し、それらを極端紫外線(EUVL)露光による高解像性レジスト材料への応用について検討した。前年度までに20nm以下の高解像性レジスト特性について明らかにすることに成功し、今年度は、さらに10nm以下の高解像性能を見出すことを目的として研究を行った。 AD残基を有するPillar[5]arene誘導体類(Pillar[5]arene-AD)、ノーリア誘導体類(noria-AD)、およびβ-シクロデキストリン誘導体類(CD-AD)を合成し、それらのEUVL露光特性として、レジストのぬれ性(膜減り)およびレジスト感度の評価を行った。ぬれ性の評価として、AD残基の様々な導入率の各種環状オリゴマー類について評価、検討した結果、AD残基の導入率が高いほど、膜減りが大きいことが分かり、ぬれ性は良くないことが判明した。その中で、AD残基の導入率12%のNoria-OEt-Ad(12)では膜減りが全く確認されないことが判明した。このことは、シリコンウエハー基板との密着性能が、保護基の導入率により異なることによる。 次に、膜減りが確認されなかったNoria-OEt-Ad(12)の感度測定、パターニング特性について検討を行った。その結果、感度測定ではNoria-OEt-Ad(12)が7mJ/cm2の感度を要していることが判明した。パターニング評価では、レジスト:光酸発生剤(PAG):クエンチャー=100:20:1.25(wt%)の比率で調整したレジスト薄膜を作成し、EUVL露光によりレジストパターン特性について検討した。その結果、解像度22.5nmのパターンが得られることが分かった。PAGとクエンチャーの含有比率や保護基の種類、露光条件などをさらに検討することで、更なる微細パターンの形成が可能であることが判明した。
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