研究課題/領域番号 |
22380015
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
小葉田 亨 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (60186723)
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研究分担者 |
松本 真吾 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00346371)
川満 芳信 琉球大学, 農学部, 教授 (20192552)
中川 博視 中央農業総合研究センター, 農業気象災害チーム, 研究チーム長 (90207738)
大西 政夫 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (80185339)
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キーワード | イネ / Stay green / 光合成速度 / SPAD / 日本のコアコレクション品種 / 世界のコアコレクション品種 |
研究概要 |
日本のコアコレクション品種の早生と中生から35℃インキュベーション法によって予備選抜した品種について、ヒーターと熱交換器を備えた温室で出穂期以降高温を与えて、葉色、葉面積、光合成速度を継時的に測定し、屋外の個体と比較した。その結果、いくつかの品種はインキュベーション法と異なる傾向を示したものの、積算気温に対して葉色と光合成速度が低下しにくい品種としやすい品種があった。コシヒカリのStay greenミュータントは葉色が低下しにくいにもかかわらず光合成速度が低下した。また、出穂前後において葉温20~35℃の間ではミュータントと野生型との間に大きな差は認められなかった.35℃インキュベーション法で選抜したところ世界のコアコレクション品種にも緑色維持に品種間差が認められた。コシヒカリと日本晴の高温条件下(温度傾斜型温室内の水田)および自然条件下で生育した日本晴とコシヒカリミュータントの精玄米収量は、それぞれの野生型品種である日本晴、コシヒカリより低収となり、玄米品質も低下(精粒歩合の低下および乳白粒率の増加)する傾向が認められた。さらに、屋外でコシヒカリとコシヒカリミュータントを栽培したところ、登熟中期の葉身SPAD値は、野生型コシヒカリより大きく、登熟中期において、コシヒカリミュータントの葉色は濃く保たれた。しかし、両者の間に収量差は認められず、乳白粒および青未熟粒、青死米の増加のために、コシヒカリミュータントの整粒歩合はコシヒカリに比べて約15%低下した。従って、コシヒカリミュータントは葉色が保たれるものの、生産性、品質の向上につながらない非機能的ステイグリーンと考えられた。コアコレクションの中からFunctional stay green品種を見出す必要がある。さらに、窒素等の吸収と分配について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
日本及び世界のコアコレクション品種からStay greenと推測される品種が見いだされさらに光合成特性が確認されたものが見つかった。これらの品種を用いて交配系を作り出せる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
緑葉と光合成の維持が実際の乾物生産や子実重の維持と関連しているかの確認と、さらに群落状態での特性確認が必要である。これらには温度勾配温室の利用とさらには高温地帯での屋外栽培の可能性を探る必要がある。
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