研究課題/領域番号 |
22390075
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
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研究分担者 |
長谷川 一造 福井大学, 医学部, 助教 (60324159)
大越 忠和 福井大学, 医学部, 助教 (90362037)
小澤 大作 福井大学, 医学部, 特命助教 (60554524)
伴 匡人 福井大学, 医学部, 特命助教 (00579667)
樋口 京一 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20173156)
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キーワード | 蛋白質 / 病理学 / 透析アミロイドーシス / β2-ミクログロブリン / アミロイド線維 |
研究概要 |
本研究は、ヒトアミロイドーシスのモデル疾患として透析アミロイドーシス(β2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイドーシス)を選び、発症の分子機構を、独自に開発する試験管内実験系、新たに開発する遺伝子改変マウス、培養細胞系、および臨床病態解析を組み合わせ、総合的に解明することを目的とする。本年度の成果:1.α2-マクログロブリンが細胞外分子シャペロンとしてβ2-mアミロイド線維形成を抑制する機構を詳細に解明した。2.透析アミロイドーシスモデルマウスとして、マウスβ2-mをノックアウトした上で、ヒトβ2-mを過剰発現するトランスジェニックマウスを開発した。このマウスは、自発的にも、合成あるいは患者組織から抽出したβ2-mアミロイド線維をシードとして投与しても、β2-mアミロイドの蓄積が認められなかった(Zhang et al.,Amyloid,2010)。この結果は血中β2-m濃度が増加するだけではアミロイド線維形成には不十分であることを示している。我々は既に、試験管内線維形成系においても、β2-mは天然構造のままではアミロイド線維に組み込まれず、リゾリン脂質等により部分変性する必要があることを示しており、マウスでのin vivo実験結果と矛盾しない。以上の結果は、リゾリン脂質等の炎症関連因子による促進や、本年度明らかにした細胞外分子シャペロンによる抑制機構破綻など、反応機構の様々な段階の発症因子が重複してはじめてアミロイドーシスを発症する可能性を示唆している。発症のトリガーになる因子を同定することは、予防・治療のターゲットとして重要であり、本トランスジェニックマウスはこの誘起因子を探索するために適切なモデルであると考えられる。今後、誘起因子を体外から投与することや、別の遺伝子改変マウスとの掛け合わせによる遺伝子導入などにより、誘起因子の同定を試みることが可能となった。
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