研究課題
兵庫県立粒子線医療センターは世界で唯一、陽子線と炭素線の両者を利用可能な施設であることから、陽子線と炭素線の無作為比較試験を単一機関で実施できる世界唯一の機関である。本研究では肝細胞癌に対する陽子線・炭素線による粒子線治療を行い、それぞれの有効性・安全性を無作為比較試験で検討すること、および医療経済学的な評価を加えることが目的である。レトロスペクティブな検討では、同じ線量分割で治療した場合、両線種間において全生存率および局所制御率に差を認めないことを示してきた。本年度は研究実施計画書に示した計画通り、非劣性臨床試験の登録を開始している。エンドポイントはプライマリー:全生存率、セカンダリー:局所制御率、QOL、安全性、医療経済評価である。陽子線治療145例、炭素線治療145例(有意水準:片側2,5%、検出力:80%、Cの生存率:82.5%、Pの生存率87%、非劣性マージン:10%、合計イベント数:44例、1群あたり症例数:145例)を目標として開始した。症例登録については両群間のバイアスを排除するため、研究分担者の国立循環器病センターにおいて治療開始時年齢、性別、Liver damage、腫瘍径の4因子を動的中央割り付けをしている。主な対象症例は1)臨床的、病理学的に肝細胞癌と診断されている。2)単発である。3)腫瘍栓、肝細胞癌破裂がなく、肝門部リンパ節転移や遠隔転移を伴わない。4)治療計画シミュレーション時に炭素線・陽子線間に有意な差がないこととし、66GyE/10Fr照射プロトコールに限定して登録を開始している。
3: やや遅れている
66GyE/10Frの単一プロトコールでは肝門部にかかる中枢型肝癌の登録ができず、本臨床試験に登録できる症例が限定される。
登録症例数が未だ不十分であるため、分担研究者と協議を重ねた結果、現行の肝門部を含まない末梢型肝癌に用いている66GyE/10Frのプロトコールに加え、肝門部肝癌にも適用される72GyE/20Frプロトコールでも登録できるよう、研究計画書の見直しを図るべく倫理委員会にて検討する予定である。
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