研究課題/領域番号 |
22404015
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野田 泰明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00185654)
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研究分担者 |
柳澤 要 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20311615)
増田 聡 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30231591)
姥浦 道生 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20378269)
有川 智 国土交通省国土技術政策総合研究所, 住宅研究部・住宅生産研究室, 室長 (00212639)
坂口 大洋 仙台高等専門学校, 専攻科, 准教授 (70282118)
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キーワード | 公共建築 / 発注支援 / 国際比較 / 建築法 / 建築プログラム / 設計者選定 / 報酬規定 |
研究概要 |
2年目にあたる本年度は、フランス(MIQCP、パリ政治学院都市計画研究所、アルジャントゥイユ市建設部局他)、ドイツ(DVA、BAK、ブラウンシュタイン市建設部局他)での詳細な実地調査をもとに、両国の公共建築発注の実態とその背景にある建築関連法規、専門職能団体の位置づけなど社会システムの構造を研究した。主な成果は、以下のとおりである。1.規定体系:全体的にEU指令に呼応した法整備が進んでいる。フランスではMOP法において包括的に詳細な規定がなされている。ドイツではVOF、VOBといった上位法の下にそれぞれ関連する規定があり、州ごとにそのありようが大きく異なっていた。2.プログラム:フランスではほとんどのプロジェクトはMIQCPの定めるガイドラインに従っている。一方ドイツでは州ごとに状況が異なるが、フィジビリストを雇用している。3.設計者選定:フランスではプログラム同様にMIQCPのガイドラインが重要な意味を持っており、報酬を払う二段階のプロセスが組まれている。ドイツではガイドラインRPW2008が設定されているが、拘束力は弱く運用状態にも差がある。4.報酬規定:フランスドイツともに業務の複雑さを設計料に反映させる仕組みと各段階の業務内容やその反映の仕方が明確に定められている。 建築設計の発注に関連する各国の仕組みの根幹を明らかとすることが出来た。最終年度は、過去に調査したイギリスに戻って、その概要をさらに整理するともに、フランス、ドイツでの成果ともあわせて、全体の構造と日本における適応可能性について取りまとめる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、調査の実施が一部キャンセルになったにもかかわらず、当初予定していた公共発注全体の各国のデーターベースの作成、フランズ、ドイツにおける現地調査についても、国、自治体、建築家、専門家等へのヒアリング、資料収集が実施できた。実地調査の整理、収集資料の分析などにおいても順調に推移し、法制度上の課題、専門組織の有無と実効性などの、問題構造の解明における視点を抽出しつつあるため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は研究計画の最終年度にあたるために、まず年度の前半において、これまでの調査内容の整理分析と補足調査の企画・実施を行う。次に各国の公共建築発注状況と発注システムの比較軸(項目)の設定し、比較することで発注システムと整備状況の関係を捉える。同様に、個別のケーススタディーに関して、それらの発注システムの特徴が如何に関係しているのかを整理する。これらの整理分析は、各国の公共発注及びそれらの基盤となっている根拠法や政治システムの部分は、検討・分析に不可避であるために、専門家によるアドバイスなどを有用に活用する。最終的にはこれらの結果から、日本における公共建築発注への適用可能性や、国内の発注スキームの改善点などを視野に入れた研究総括を行う予定である。
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