パソコンを利用した臨床場面で利用可能な高精度反応時間計測システムを開発し、我が国はもとより世界的な利用を実現する目的で、本年度は、以下の研究を行った。 (1)これまで研究や臨床で利用されている反応時間課題を調査し、本開発システムで実装する課題について検討した。そして検討結果に基づき、視覚刺激の呈示とシステム全体を管理するコンピュータ上で動作するソフトウェア、聴覚刺激の呈示と反応時間を高精度で計測するためのUSB接続の小型機器、のプロトタイプを開発した。本プロトタイプでは、被験者の反応をタッチセンサのtouch/releaseの両方で行えるようにした。健常成人以外の被験者の中には、タッチセンサのtouch動作がうまく行えない人もおり、release動作での反応の取得は重要と考えた。また本開発システムは、臨床現場への導入を容易にすることを目指し、PCとMacの両方の環境で動作するように開発した。 (2)反応時間課題で利用する動画像を札幌市とアルバータ大学の研究協力者の所在地であるエドモントン市で収集した。また、アルバータ大学を訪問し、Dr. Lili Liu、Dr. Masako Miyazakiらに本研究内容について説明し議論するとともに、来年度のデータ収集に向けた研究打ち合わせを行った。訪問期間中、アルバータ大学の関連病院施設、運転評価を行っている施設を訪問し、本研究について説明し、来年度のデータ収集のフィールドを広げる活動を行った。 本研究課題は追加採択されたもので、実施開始が2010年の11月であったが、来年度の研究遂行に向けての準備をほぼ予定通り進めることができた。
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