研究課題/領域番号 |
22510078
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
長尾 哲二 近畿大学, 理工学部, 教授 (30351563)
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研究分担者 |
加川 尚 近畿大学, 理工学部, 講師 (80351568)
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キーワード | 合成エストロゲン / 催奇形性 / 継世代影響 / エピジェネティクス / Dnmt / DNAメチル化 |
研究概要 |
胎生期の合成エストロゲン曝露による精巣障害と継世代催奇形性との関連を明らかにするために、今年度はエチニルエストラジオール(EE)を胎齢9~16日に投与し、胎齢18日胎児における精巣についてTEMにより超微形態観察をした結果、生殖細胞に変化はみられなかったが間質細胞にミトコンドリアの小型化と滑面小胞体の減少がみられた。生後21日では精細管委縮および生殖細胞減少が確認された。Real-timeRT-PCR法では胎齢13、18日、生後70日の生殖細胞にはEE曝露によるDnmt遺伝子mRNA発現に明らかな変化はみられなかった。胎齢13、18日および生後70日生殖細胞におけるゲノムワイドなDNAメチル化状態について解析した結果、胎齢13目および生後70日ではゲノムDNAは対照群と比較して高メチル化状態であった。正常マウス胎齢13日の生殖細胞ではゲノムワイドなDNAメチル化状態は低メチル化状態に保たれているが、EEの胎生期曝露はDnmt mRNA発現に変化を示さなかったものの、胎児の生殖細胞におけるゲノムDNAを高メチル化状態にし、成熟精子のDNAメチル化にまで影響をおよぼしたことから、合成エストロゲン曝露は雄性生殖細胞における発生段階特異的なDNAメチル化パターンを撹乱することが示唆された。マウス系統差の検討ではDnmt mRNA発現に関しては系統差がみられたが、いずれの系統においても合成エストロゲンの胎生期曝露により精巣におけるゲノムDNAを高メチル化状態にすることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験的手技・手法が確立しているため、検討に要する時間が短縮できたので実験は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
特定遺伝子、例えば口蓋裂誘発と深く関連のあるTGF-β3やMSX-1などの遺伝子発現に及ぼすDNAメチル化変異の役割について検討することが重要と考える。
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