合成エストロゲンのエチニルエストラジオールEEに胎生期曝露された胎齢13、18日胎児性腺あるいは生後70日児の成熟精子におけるインプリント遺伝子であるH19、Igf2遺伝子mRNAの発現をreal-time PCR法で検討し、さらに特定遺伝子におけるCpGサイトにおいてDNAメチル化修飾の変化が生じているか否かを調べる目的でH19遺伝子プロモーター領域におけるメチル化修飾状態について解析した。その結果、EEに胎生期曝露された胎齢13および18日生殖細胞におけるH19・Igf2遺伝子mRNA発現は低下する傾向がみられた。またH19遺伝子プロモーター領域における12箇所のCpG部位のメチル化率は、対照群で18.9%であったが、EE投与群では60.2%(p<0.05)であり、EE胎生期曝露は、インプリント遺伝子のDNAメチル化パターンを変化させ、遺伝子発現に影響を及ぼすことが示唆された。また、合成エストロゲンに対するマウス系統差を比較したところ、胎児期生殖細胞におけるゲノムワイドなDNAメチル化状態には、C57BL/6JとICRでは差はみられなかったが、DES投与によりC57BL/6JではDnmts遺伝子のmRNA発現に上昇がみられ、C57BL/6J系統の高感受性が確認された。
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