• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

帝国とメッカ巡礼:ロシアのムスリム地域の視点から(1865-1914)

研究課題

研究課題/領域番号 22510254
研究機関北海道大学

研究代表者

長縄 宣博  北海道大学, スラブ研究センター, 准教授 (30451389)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワードロシア / 帝国 / イスラーム / 世界史 / 東洋史 / 西洋史
研究概要

最終年度の本年度は、国家とグローバルな展開がどのようにメッカ巡礼の動態に作用していたのかを巡礼者の目線から把握すべく努めた。これまでカザンとモスクワで収集したタタール語の巡礼記、人物伝、村史を分析すると、1860年代頃からイスラーム学者の重要な留学先がブハラから徐々にメッカ・メディナ、イスタンブルに移っていくパターンが読み取れる。その背景にはまず、ロシア帝国の交通網がグローバルなそれと結合し、巡礼が格段に容易になったことがある。そして、ロシア帝国自体が近代化する中で、その教育制度に十分に統合されていないムスリムが、オスマン帝国の西欧化した教育施設やカイロ、メッカ、メディナでのイスラーム諸学の新しい展開に、近代に適応する術を学ぼうとしたことがあった。これらの点は、25年度中に論文にまとめる予定である。
本研究は、帝政期のメッカ巡礼に焦点を絞ってきたが、巡礼は過去から現在まで持続的に繰り返される儀礼でもある。したがって、相互補完的な他の共同研究との兼ね合いで、帝政期の研究で得られた知見を活かしながら、ソ連時代と現在のロシア連邦にまで研究の射程を広げた。7月に行われたスラブ研究センターの夏期国際シンポジウムでは、現代ロシアのメッカ巡礼について報告した。11月には北米のスラブ学会(ASEEES)で、Revolutions across Imperial Borders: Diplomacy and Local Politics in the Early Twentieth Century というパネルを組織した。そこでは、1920-30年代のソ連による紅海への進出という文脈で、メッカ巡礼の政治的・経済的な意義について考察する報告を行なった。日本語では、帝政末期から現代にかけてのロシアのメッカ巡礼を概観する論考も執筆することができ、25年度に出版予定である。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ロシア・ムスリムがみた20世紀初頭のオスマン帝国:ファーティフ・ケリミー『イスタンブルの手紙』を読む2013

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 雑誌名

      中嶋毅編『新史料で読むロシア史』山川出版社

      巻: なし ページ: 92-110

  • [雑誌論文] 近代帝国の統治とイスラームの相互連関:ロシア帝国の場合2013

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 雑誌名

      秋田茂、桃木至朗編『グローバルヒストリーと帝国』大阪大学出版会

      巻: なし ページ: 158-184

  • [雑誌論文] Мектеб или Школа? Введение всеобщего обучения в среде мусульман Поволжья и Приуралья2012

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 雑誌名

      Научный Татарстан

      巻: 1 ページ: 76-99

  • [雑誌論文] 総力戦のなかのムスリム社会と公共圏:20世紀初頭のヴォルガ・ウラル地域を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 雑誌名

      塩川伸明、小松久男、沼野充義、松井康浩編『ユーラシア世界4公共圏と親密圏』東京大学出版会

      巻: なし ページ: 71-96

  • [学会発表] Drawing Russia as a Muslim Power? The Hajj from Tatarstan and Daghestan in the Post-Soviet Era

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 学会等名
      The 2012 Summer International Symposium of the Slavic Research Center, “From Empire to Regional Power, Between State and Non-state”
    • 発表場所
      北海道大学スラブ研究センター(札幌)
  • [学会発表] Toward a Seaborne Empire? Bolsheviks in the Arabian Peninsula, 1924-1938

    • 著者名/発表者名
      長縄宣博
    • 学会等名
      The 44th Annual Convention of Association for Slavic, East European, and Eurasian Studies
    • 発表場所
      New Orleans Marriott (USA)

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi