研究課題/領域番号 |
22520117
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館 |
研究代表者 |
渡辺 晋輔 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (50332143)
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研究分担者 |
幸福 輝 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 客員研究員 (00150045)
保井 亜弓 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (30275086)
陳岡 めぐみ 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 主任研究員 (50409702)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 版画史 / 美術史 / 近世 |
研究概要 |
本年は最終年度であったため、これまでの調査にもとづき、研究をまとめた。また、渡辺はウィーンで開催された版画素描担当キュレーター会議に出席し、欧米の多くの専門家と討議をして知見を深めた。 以上の成果は48ページからなる研究報告書として出版した。本報告書は、5本の論文を掲載するとともに、ヨーロッパ近世の版画の一次史料の翻訳、および地域別の版画関係の史料をまとめた史料集からなるものである。 本研究の目的は、これまで存在しなかった近世の版画に関する一次史料集を作成し、当時の版画観を探ることにあった。史料集は完全なものとは言えないが、イタリア、ドイツ、フランスの各地域で記された重要なものはほぼ網羅しており、今後の版画研究にとって足がかりとなりうるだろう。 一次史料調査もとにした論文は各自さまざまである。渡辺はヴァザーリの版画関係の記述に注目しつつ、より広い視野に立った研究を行った。幸福は、カーレル・ファン・マンデルの『北方画家伝』という、ネーデルラント美術史にとってきわめて重要な文献における版画関係の記述を抜粋・翻訳したうえで、この文献において版画が高く評価されていることを明らかとした。保井はヨアヒム・フォン・ザントラルトの『ドイツのアカデミー』中の版画関係の記述に着目し、特に直彫り法と腐食法についてのくだりを翻訳し、当時の銅版画法に対する意識を読み取ることを試みた。陳岡は18世紀フランスにおけるアブラアム・ボスの銅版画技法書の需要について論じた。 本研究の開始当初は、一次史料を見つめなおすことで版画史を捉えなおすという壮大な構想があった。3年間の調査・研究でそこまでは至らなかったとはいえ、研究報告書において、近世のヨーロッパ各地域における版画に対する評価を、ある程度は明らかにし得たと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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