本研究は、ナチズムとホロコーストがどのようにドイツで忘却され記憶されたかを探求する。そのため、ドイツとポーランドで記念碑・ミュージアム・記念館の調査を行い、演説・文学・映画・教科書・回想等の分析を行った。その結果、記憶には2つの機能があることが明らかになった。記憶は、忘れられた過去を再構成しアーカイヴのように保持する。しかし時には過去の不正を暴き、それを、他者の、特に犠牲者の記憶を受け入れることによって正そうとする。両方の機能がドイツ国民の集合的記憶にとって重要である。 2010年日本独文学会研究発表会でシンポジウム「戦後ドイツの『想起の文化』」を開催し、2011年研究叢書として刊行した。
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