本研究は、通言語的に見られる選言と連言の交替現象を調査し、疑問文中の選言に対する新しい論理形式を考案したものである。論理学では、選言の否定は否定の連言に等しいことはよく知られている(ド・モルガンの法則)。自然言語でもこの法則は成り立つが、否定と同じ文演算子である疑問に変えると一律に成立しないことが分かっている。そのため、言語学の研究では、疑問のorは平叙のorと違うものとして分析されてきた。それに対し、本研究では、疑問と平叙のorにそれぞれ異なる接続詞を有する中国語、フィンランド語、エジプトアラビア語の三つの言語での選言表現の振る舞いを調査し、選言表現の通言語的・統一的分析を提案した。
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