研究課題/領域番号 |
22520471
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
原 卓志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00173063)
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研究分担者 |
梶井 一暁 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (60342094)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国語学 / 教育学 / 学習史 / 学習記録 / 地方語史 / 庶民教育 / 地方寺院 |
研究概要 |
本研究の中心課題である地方寺院伝存文献調査として、まず徳島県徳島市の無盡山弘誓寺において近世から明治時代における中学林関係文書の調査と写真撮影を行った。また、徳島県板野郡板野町の莊嚴院地蔵寺において伝存文献調査を行った。莊嚴院地蔵寺に伝存される近世の聖教・典籍は膨大な分量に及び、平成25年度にはその約四分の一の調査を完了した。また、所蔵文献目録の作成に関しては、平成25年3月に刊行した『国伝山宝珠院地蔵寺所蔵文献目録〔上冊〕』に続けて、平成26年3月に『国伝山宝珠院地蔵寺所蔵文献目録〔下冊〕』(全472頁)を刊行した。更に、上・下冊について鳴門教育大学リポジトリ(http://www.naruto-u.ac.jp/repository/metadata)に公開した。 地方語史資料の少ない中、江戸時代後期の徳島言葉の資料として貴重な文献である臨江山地蔵寺蔵『孟子聞録』を翻刻し、その全文を鳴門教育大学研究紀要第29卷に投稿し発表した(「【翻刻】臨江山地蔵寺蔵『孟子聞録』」PP.215-236)。 一方、真言宗寺院との対照研究として行っている真宗寺院における僧侶の修学についての研究では、龍谷大学図書館に所蔵される本山学林の名簿を中心に調査を行った。この名簿には阿波や讃岐をはじめ四国から本山で学ぶ多くの僧侶の名前が確認された。こうした僧侶たちと都市(京都)とのつながりや、彼らによる都市文化の四国への持ち帰りというネットワークの形成についての貴重な研究材料を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、徳島県内の寺院と香川県内の寺院について伝存文献調査を行う予定であったが、香川県内の寺院との調査交渉が不調に終わった。それは、調査者の校務のために、ある期間の集中した調査日が確保できなかったことと、相手先寺院への交通手段の貧弱さに起因している。 その代替措置として徳島県内の寺院における伝存文献の悉皆調査に切り替えた。現在調査を進めている莊嚴院地蔵寺には予想を上回るほどの膨大な聖教・典籍が所蔵されており、現在の調査の進行状況では、平成26年度末までに約二分の一を残すことになりそうである。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている莊嚴院地蔵寺における伝存文献調査を続行し、調査を終えた部分についての所蔵文献目録作成を行う。この場合には、学生・大学院生の助力を仰いで、文献調査のスピード化、目録データ入力のスピード化を図りたい。 また、『国伝山宝珠院地蔵寺所蔵文献目録〔上冊〕』『同〔下冊〕』について、その索引(文献名索引、人名索引、寺社名索引)を作成・刊行し、国伝山地蔵寺所属僧侶の修学に関する研究に着手する。 平成25年度の研究を承けて、真宗寺院における文献調査を行い、真言宗寺院との対照研究を推進したい。
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