研究課題
平成25年度は、特に中古(平安時代)における接続表現の全体的の使用傾向、および指示詞系接続表現「サレバ・カカレバ」の用法と歴史的変化(中古から近世前期)を明らかとした。まず、中古の接続表現の使用傾向については、国立国語研究所「日本語歴史コーパス」中納言を使用し、1)どのような接続表現が用いられているのか、2)それらの接続表現について、コーパスの情報である作品別・本文種別等から分析すると、それぞれどのような使用傾向が見られるのかについて調査した。以下に結果を示す。【1】『古今和歌集』は接続表現の使用が少なく、それに対し『竹取物語・土佐日記・大和物語』は多い傾向を示す。【2】『竹取物語』から『落窪物語』まで、そして『和泉式部日記』から『紫式部日記』で傾向が分かれる(「カカリ」系から「サリ」系へ)。【3】『源氏物語・紫式部日記』は使用傾向がよく似ている。【4】日記である『土佐日記』と『紫式部日記・和泉式部日記』(「マタ」の使用が多いということは共通する)は、使用傾向は似ていない。。次に「サレバ・カカレバ」について、中古から近世前期(江戸時代前期)の調査をおこない、現在の調査範囲において【1】節の述語として用いられる「サレバ・カカレバ」は中古のみで見られる、【2】「サレバ」が接続表現(条件表現等)として多く用いられるのは中世前期である、【3】「サレバ」(助詞を後接しない、定型句でない)が感動詞化するのは中世末(虎明本狂言)から近世(近松門左衛門浄瑠璃)頃である、【4】「カカレバ」は「サレバ」と同じく中古(平安時代)に用いられているが、中世前期(鎌倉時代)の『宇治拾遺物語』以降、見いだせなくなる。また、平成25年度には研究分担者である竹内史郎氏と現代語の接続表現「ソレデ・ソレデ・ソシテ・ソレガ/ヲ・ソコデ」の用法について研究を進めてきたが、現在も継続中である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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文学論藻
巻: 第88号(東洋大学文学部紀要第67集日本文学文化篇) ページ: 168(27)-151(44)
成城國文學論集
巻: 36輯 ページ: 135-149