研究全体の目的は、数年から十数年後には本格的に到来するであろう機械翻訳の時代における外国語教育について、その理念、目的を含め再検討を行った上で、具体的教育モデルを提示することにある(本研究識題では、日本語母語者による中国語読解行為を対象としている)。 平成23年度は、機械翻訳を利用した中国語読解教育の具体的なプログラムの作成と教材の準備を行った。プログラム及び教材は中国語既習者、中国語未習者の双方を対象としたものであり、(1)機械翻訳の不備を中国語知識で補う形での読解学習、(2)中国語能力の不備を機械翻訳で補う形での読解学習を想定している。また自らが自分自身の機械翻訳を利用した読解プロセスを振り返ることにより、機械翻訳との付き合い方を自発的に考える機会を設けている。いずれもコンピュータ端末でインターネット上の機械翻訳システムを利用して学告するものである。プログラム及び教材の一部については、平成23年度中に試験的に実施した。24年度<4月-19月>には40名程度の<中国語既習者、未習者>を対象に本格的に実施し、その学習過程、学習効果について分析する予定である。 また、本年度は日本国内外において機械翻訳実用化に向けて大きな動きが見られた。とりわけ音声翻訳において、実社会での普及を阻む壁を突き破る可能性のある大きな動きがあったのは注目に値する。これらの動向も含め、ソフトウエア開発企業へのヒアリング、海外を含む現地調査を実施し、情報の収集に努めた。
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