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2011 年度 実績報告書

高精細画像を利用した中国殷周青銅器文様の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520781
研究機関公益財団法人泉屋博古館

研究代表者

廣川 守  公益財団法人泉屋博古館, 学芸課, 学芸員 (30565586)

キーワード高精細画像 / 殷周青銅器 / 渦巻状地文 / 沈線文
研究概要

平成22年度に殷墟期青銅器の撮影を終了したため、23年度は西周時代青銅器を中心に53点の撮影を実施し、計800カットの高精細画像を取得した。取得画像の整理をすすめた。分析は、平成22年度から進めている渦巻き状地文細部の状況とともに、沈線文細部の施文状況についても併せて実施した。
地文は時期ごとの特徴を把握するために、殷後期と西周前期とに分類し比較を行った。その結果、殷後期の渦巻状地文には、線が太めで極めてシャープな輪郭を有するタイプと、線が非常に細く繊細なタイプとが併存することがわかった。それに対して、西周期の渦巻状地文は、これまでの調査例すべてが線の非常に細いタイプであった。さらに西周期は殷墟期に比べ渦巻線の間隔が広く、巻数が少なく粗雑な印象を与える例が多かった。このことから殷墟期から西周期へと移行するなかで、渦巻地文の施文技術が低下していくと推測した。
また、沈線文は、主文様内にほどこされたものと銘文を構成する文字とにみられる。分析の結果同一器においては、主文様内沈線と文字沈線とはほぼ同じ太さで造られていることが判った。とくに文字をつくる沈線に関しては、沈線が交わる部分で段差が存在する例、沈線先端が彫刻したように鋭く尖る例、沈線輪郭部分が堤防のように盛り上がる例などを確認した。これらは沈線文をつくる際の鋳型成形に関わる痕跡と考えられ、今後沈線施文技術を系統的に解明する際の手がかりとしたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

殷から西周にかけての文様細部の画像取得により、当初もくろんでいた渦巻状地文の分類と年代による差異の抽出に成功し、さらに沈線文についても3系統の施文方法が確認できたため。

今後の研究の推進方策

これまでの分析に関して、製作年代別により系統的に検証することを目的として、他機関が所蔵する青銅器の高精細画像を取得することにより、分析対象資料を増やす。具体的には寧楽美術館蔵青銅器、黒川古文化研究所蔵青銅器、和泉市立久保惣記念美術館蔵青銅器などである。これにより、対象資料における器種や製作年代の偏りが解消され、より系統的な分析が可能となる。

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公開日: 2013-06-26  

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