本研究はポスト生産主義下において,フードシステムにみられる品質の調整が農業地域の発展にいかなる影響を与えているのかを①ファーマーズマーケット,②多段階流通チャネルを有し,同一品目について慣行農法とIPMが混在する産地,③生産主義的型の巨大産地から究明した。その結果,ファーマーズマーケットは「地元産」というラベリングに支えられ,生産主義型の巨大産地はその規模ゆえに流通主体・消費者の多様な品質要求・調整を可能にし,ハイブリッド型産地はそれゆえに消費者の要求を物質化できていないことが明らかになった。その地域的発展戦略は「地元産」というファーマーズマーケットのラベリングから示唆を受けることができよう。
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