研究課題/領域番号 |
22530165
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
河野 康子 法政大学, 法学部, 教授 (40186630)
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研究分担者 |
平良 好利 法政大学, 法学部, 講師 (40614863)
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キーワード | 政治学 / 外交史 / 岸内閣期 / 池田内閣期 / 佐藤内閣期 / 沖縄返還 / 政党政治 / 日米安全保障条約改定 |
研究概要 |
1,研究課題に関する全体的な背景として、日本外交と冷戦に関する書評論文を執筆し、日本国際政治学会機関誌『国際政治』に投稿した。この論文は「日本外交にとって冷戦とは-戦後史と国際関係の視点から-」と題するものである。副題にあるとおり、日本外交史が冷戦に向けてどのような取り組みを重ねてきたか、という課題について戦後史的な視点と国際関係論の視点とを併せて考慮してまとめたものである。この執筆を通じて、日本外交と冷戦に関する最近の重要な業績をレビューする機会に恵まれ、研究課題に関する新たな研究動向の把握が可能となった。 2,研究課題との関連で日米安全保障条約改定交渉における沖縄返還問題の扱いについて新資料の分析を深めた。このテーマについては既に昨年度の『国際問題』に「日米安全保障条約改定の歴史的意義」という論文を発表していたが、その後、多くの関連資料が公開されたことを受けて、これらをさらに深く読み込む機会を得た。その結果、1957年から60年の岸内閣期に沖縄問題が日米安全保障条約交渉で最も重要な課題であった事実を実証することができた。その成果は、平成24年度夏以降に刊行予定の論文集において「沖縄問題をめぐる政党と官僚」という論文にまとめており既に提出済みとなっている。この論文は「池田・佐藤内閣期の日本外交と沖縄返還」という研究課題にとって、岸内閣期を検討することが必須であることを前提としている。 3,論文「沖縄問題をめぐる政党と官僚」の内容の一部を、外交史料館における講演会(招待講演)で報告する機会を得た。会場では沖縄問題に関わった多くの外務省関係者から貴重なコメント・質問を受けることが出来、その結果、今後の研究の発展に向けて有益な示唆を得ることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、研究代表者の研究成果として、研究課題に関する論文執筆と学会機関誌への掲載、及び招待講演を行うことができた。これに加えて外交文書公開に伴う資料の収集と分析が順調に進展しているので、今後の論文執筆の目処がついている。従って研究目的について、おおむね順調に進展している、と言ってよい。当初の計画を微調整しつつ、最終年度の研究成果とりまとめに取り組む計画となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題について今後の推進方法としては、日本の戦後体制をめぐる議論のなかに沖縄問題と日本外交というテーマを位置づけて考察することを構想している。池田・佐藤内閣期の外交と沖縄返還という課題を検討することを通して、日本の戦後体制の特徴として、西側の一員としての外交路線を選択したことの意味が明らかになってきた。近年の政治学の成果として先進諸国における戦後体制をめぐる議論が活性化しているが、そうした議論では戦後体制について、西側の一員としての外交と国内政治における福祉国家という組み合わせに関心が集まっている。 沖縄返還に関する考察を通して戦後体制論にアプローチすることを今後の研究課題の一つとしたい。
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