研究課題/領域番号 |
22530216
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
上原 克仁 青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教 (60509157)
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研究分担者 |
都留 康 一橋大学, 経済研究所, 教授 (00155441)
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キーワード | 内部労働市場 / 人事データ / 主観的業績評価 / インセンティブ / 人事制度改革 / 職務配置 / 昇進 / 自動車販売会社 |
研究概要 |
本研究の主たる意義は、日本最大級の自動車販売会社J社から入手した人事並びに製品取引データをもとに、これまで別々に行われてきた短期と長期のインセンティブ付与に関する分析を一企業を対象に統一的に行うことを通じ、内部労働市場の機能のより一層の解明を行う点にある。平成23年度は以下の作業並びに分析を行った。 (1)追加で入手した人事データの入力および整備 2011年3月に、新たに全社員の職務配置や昇進をはじめとする人事異動に関するデータを入手した。このデータの入力ならびに整備を行い、分析に使用できる状態とした。 (2)J社人事部に対する聞き取り調査 分析を効率的に進めるため,データを提供頂いたJ社の元取締役副社長を複数回にわたり招聘し、これまでの分析で得られた結果を踏まえながら詳細な聞き取り調査を実施した. (3)データに基づく計量経済分析 入力したデータをもとに、昨年度行った予備的な分析から得られた諸課題((1)考課結果や月次の販売成績等に基づくマルチタスキング・エージェンシー問題の解明、(2)昇進者や異動者の決定等人的資源配分プロセスの解明、さらには、(3)月次販売データを用い、報酬制度変更が及ぼした影響をダイナミックなモデルで推計する研究)を解明するための分析を行った。 具体的には、(1)に関して、連携研究者にも積極的に参画頂き、理論研究によって示唆されている主観的業績評価の功罪を人事・製品取引データと社員意識調査データとの接合データを用いて実証的に明らかにした。そして、その成果を論文にまとめ国内の学術雑誌に投稿、採択され、2011年秋に刊行された。(2)に関しては、人的資源配分プロセスの解明とともに、管理職者の人事異動が業績に及ぼす影響をデータをもとに分析し始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文を執筆し学術雑誌に採択されるなど当初の計画以上に進んでいる面が見られる一方で、まだ研究があまり進んでいない研究テーマも存在する。しかし「研究の目的」に記載した事項については着実に計画通り実施しており、総じて、おおむね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度が本研究の最終年度にあたることから、各々の研究テーマに関して分析を進め論文を執筆、国内外の学会やセミナー等で研究報告を行い、そこで得られたコメントなどを踏まえて加筆修正し、学術雑誌に投稿することを目指す。すでに採択された論文についてはより完成度を高め、海外の学術雑誌への投稿を目指す。
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