外国為替市場における付和雷同現象を以下のようなモデルにまとめた。モデルとして相互依存性をあらわすのに、コピュラを用いた。ただし論文に仕上げ発表するに至らなかった。 動的均衡モデルでは外国為替ディーラーは確率的に相場の見直しを行う。見直し時期と見直し後の予想相場の2つが確率変数である。見直しの間隔時間は指数分布に従う確率変数である。予想相場は所与の確率分布に従う。これらの確率変数について、ディーラー間で相互依存性を導入する。独立な場合に比較し複数のディーラーで極端な値が同時に出やすいものとなる。短い見直し時間と弱気あるいは強気のどちらかに片寄った予想にもとづく売買注文が連続して発生しやすいことを意味する。いっぽう、ディーラーは観察される価格変動から単なる変動と彼らが認識するところの構造変化の先駆けの2つに区別しようとする。結果として、適応的な期待形成を行う場合が発生する。付和雷同の発生要因は常に存在している。確率的な予想価格の見直し過程における極端な値の同時発生は、観察された価格変動を構造変化の先駆けと認識させやすくなる。価格変化が構造変化の先駆けと認識されたため、為替ディーラーの推定する「予想価格の分布関数が弱気あるいは強気方向に移動を始めると、付和雷同現象である。この時、単位時間あたりの取引数も増加する。 任意の確率分布に従う複数の確率変数に相互依存性を表すためにコピュラを利用することができる。ここでは、予想見直しまでの時間の指数分布と予想価格のばらつきを表す確率分布関数にコピュラを導入する。指数分布に正規コピュラとt-コピュラを適用したシミュレーションを行うプログラムの作成を行った。
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