研究課題/領域番号 |
22530299
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
和田 良介 小樽商科大学, 商学部, 教授 (00241414)
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キーワード | 動的均衡 / 付和雷同 / ミクロ構造 / コピュラ / 連続時間マルコフ過程 / 取引高 / volatility / 非同質的予想 |
研究概要 |
動的均衡アプローチにもとづき金融市場における付和雷同現象をモデル化し、動的均衡の有効性を示すことが目的である。以下のような株式市場で観察される現象をモデルとして導く。(1)株価の上昇は取引高の増大を伴う傾向があるが、下落の場合は取引高の増大が伴わない。(2)株価の日次変化の分布は尖度が高く裾が厚い形をしている。 売買注文は(1)流動性要因のものと(2)投資家の予想の見直しに起因するものからなる。投資家の予想価格は確率変数である。投資家の予想の見直しとはランダムな時点にある分布関数からのサンプル値を抽出することである。流動性要因による売買注文の過不足を投資家が吸収する形で取引が成立している。マクロの売買注文発生過程と予想の分布関数が取引価格を決定している。動的均衡では予想は収束することなく取引が継続してゆく。 各投資家が予想を見直すまでの時間は確率変数である。コピュラを用いて相互依存関係を導入する。「正規コピュラ単因子モデル」を利用する。見直しまでの時間が短くなると取引は増える。予想価格の分布関数からのサンプル抽出過程には「正規コピュラではない単因子モデル」を考える。この単因子が正の値の場合には、どの投資家も正の範囲のサンプルをとりやすくなる。単因子が負の場合は、サンプル値は正負の傾向は示さない。サンプル値が偏ると分布関数が推移する。ニュースは確率的に到着し分布関数はジャンプする。上昇のジャンプの後はサンプル値は上方への偏りが現れやすい。分布関数は推移し、その過程では見直しは早まる。取引高は増大する。いっぽう下降ではジャンプ後の推移が起こらず、取引高の増加がない。 ニュースの到着過程を所与とする予想価格の推移過程を解析的に分析することは難しい。シミュレーションによる分析が必要である。しかしながら、シミュレーションは父親の急逝に伴う事情で中断してしまい年度中に結果を出すことができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
シミュレーションにはMathematicaというソフトを使っている。このシミュレーション用のプログラムの習得に時間がかかりすぎてしまった。次に、シミュレーションの開始という時期に相続および要支援認定の親にかかわる作業に時間をとられてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に未達成であった株式市場のシミュレーションを行う。また原油先物市場のモデル化を行う。
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